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神々の序章と終章 伊弉諾神宮(前)

2008,,24
          あめのぬぼこ

     △天瓊を以て滄海を探るの図(小林永濯・画、明治時代)

 イザナギ・イザナミの二神が、天の浮橋(あめのうきはし)に立って、未だ作り固められる以前の世界を天の沼矛(あめのぬぼこ)でかき混ぜているところ。この沼矛の先からしたたり落ちた塩水が重なって、オノゴロ島となり、その島に天降って国産み・神産みが始まる。



 淡路島が神話の島だと言うことを知らない現代人は、意外と多いかもしれない。数々の神々がドラマチックな活躍をした舞台というより、イザナギ&イザナミの夫婦神が日本の国産みをした発祥の地とされているため、意識の中で何となく盲点なのだ。かく言う私も、淡路島を目指したのは今回が初めてだった。
 三月に長女の結婚式で四国に渡った帰りに寄ったのと、五月の連休に三泊したのと、短期に二度の探訪となったが、例によって霊場・遺跡巡りの旅なので、プライベートな雑談はスパイス程度に抑えて、二度ぶんの霊場紀行&神話解説を順不同にミックスさせて紹介していこうと思う。

 まず3月24日に行った伊弉諾神宮(イザナギジングウ)。
 ここは国産み・神産みの神功を終えた父神イザナギが、統治の全権を天照皇大神に託して、自らは幽宮(かくりのみや)を構え、余生を過ごした故地とされている。
 イザナギの幽宮はもうひとつ、近江の多賀大社という説もあるが、これは『古事記』に「※1伊弉諾大神は淡海の多賀に坐すなり」とある「淡海(おうみ)」を⇒「近江」と転換させたものらしく、なんとなくこじつけっぽい。※2創建年代もこちらの伊弉諾神宮のほうが古そうだ。
 とは言え、古くは琵琶湖のことを「淡海(あはうみ、あふみ)」「近淡海(ちかつあはうみ)」などと呼んでいたというのも、何となくうなずける話ではあるので、正直、迷うところだ。「淡海」「近淡海」がどこであったかは、他にもマイナーな異説を含めれば諸説紛々で、このあたりが古代史や神話の面倒臭いところであると同時に、興味が尽きないところだ。私などには、中国の史書の一部から引っぱってきた邪馬台国論争などより、こっちのほうがはるかにロマンを感ずる。
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※1この古事記の記述「伊弉諾大神は淡海の多賀に坐すなり」は、伊弉諾神宮やイザナギ関係のサイトの各所に引用されているが、手元の講談社の現代語訳で探してみたところ、すぐには見当たらなかった。
⇒伊弉諾神宮
⇒伊弉諾神宮 izanagi
⇒多賀大社 - Wikipedia

※2履中天皇の時代には、素朴な海洋・漁猟系の信仰としてすでに定着していたらしいから、300年代末期にまでは遡れることになる。
⇒近江国 – Wikipedia
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 日本神話(『記紀』神話)における国産み・神産みとは、聖書的に言う天地創造よりはかなり後のことであり、あくまでも日本列島内の「国産み・神産み」と読み取れる。つまり、まずオノコロ島を滴らせ、そこに降り立って、次に淡路島、続いて伊予之二名島(四国)、隠岐の三つ子島、筑紫の島(九州)、壱岐の島、対馬、佐渡の島、大倭豊秋津島(本州)という主だった国(島)を産み、これを総称して「大八島国(おおやしまくに)」と言う。それに続いての神産みとなる。
⇒伊邪那岐神・伊邪那美神 http://www.ffortune.net/spirit/zinzya/kami/naginami.htm

 では、ローカル神話のみで世界規模のものがないのかというと、そうでもなく、さほど詳しい記述ではないが、イザナギ&イザナミの夫婦神以前に、ちゃんと天地開闢の物語があるのだ。『古事記』では「天地(あめつち)の初め」という冒頭の章がそれにあたる。
 これは中華思想などの影響を受けて、建国の権威主義と誇大妄想から後で付け足されたものだとか、いろいろ言われるが、天下の偽書・奇書とされる『竹内文書(竹内文献)』や、出口王仁三郎の『霊界物語』などでは、もっとはるか天文学的スケールの宇宙の創世から物語は始まっている。
▽以下、『竹内文献・竹内文書』の参考サイト
⇒「竹内文献」が語るSF的創世神話
⇒竹内文書・竹内文献・日本のピラミッド・古代史・古文書・謎・偽書・武内宿禰・平群真鳥
▽以下、『霊界物語』のオンライン文庫から
⇒第一章 宇宙太元 〔二五一〕
⇒第二〇章 日地月の発生 〔二〇〕
⇒第二一章 大地の修理固成 〔二一〕

 これ以外にも、日本の(偽書とされる)古代文献には、宇宙的視野の創世物語が珍しくはないが、『竹内文献・竹内文書』と『霊界物語』の特異性は、むしろ日本が世界の原型であり雛形だという世界観があることだ。世界創造のミニチュア・プロトタイプとして、先んじて物質化したのが日本列島という話なのである。
 つまり、ユーラシア大陸が本州、アフリカは九州、オーストラリアは四国、アメリカは北海道、という相似形の縮図である。この対応でいくと淡路島は日本列島だったかな。
 インドを紀伊半島とすると、日本:淡路島の位置がかなりズレているし(伊豆七島のほうが位置としては近そう)、南北のアメリカ大陸がひとつの北海道でまにあわされているのも、ちょっと苦しいところがあるが、たび重なる地殻変動で大陸移動し、今日ではこういうイレギュラーな形になってしまったのだ、と言い訳することもできる。
……と思ったら、以下のサイトで見つけた情報によると、インドは渥美半島、淡路島は南アメリカ、なんだそうだ。なんか、ちょっと苦しまぎれすぎ?!

⇒センス・オブ・ワンダー!日本の国は世界の「雛形」である(神話・宗教・民俗学) - ヒロさん日記
縮図
          
 これに関連する西洋文化圏での仮説に、アルフレート・ヴェーゲナーの大陸移動説がある。世界はもとはひとつの巨大な大陸だったという説だ。
⇒パンゲア大陸 - Wikipedia
⇒大陸移動説 – Wikipedia

 まあ、科学的証明がどうこう言うレベルの話でもないし、信ずる信じないはお好きにどうぞの世界だけどね。でも、実際、淡路島のあたりの海底を含む地質・地層がそんなに古いものなのかどうか、科学的に分析してみるのもそれなりにロマンはあると思うのだが……。

 ところで、国産み神産みはイザナギ&イザナミの夫婦神で成し遂げたのに、なんで幽宮はイザナギの父っつぁんだけなのか。形の上では昭和七年に伊弉冊命(イザナミノミコト)を合祀しているが、逆に言うと、それまでの長い長い間、父っつぁんの単身隠居だったことになる。このへんをごまかして、最初から夫婦神が仲良く祀られているように見せかけているのが多賀大社だが、私はこれを信じない。神話を読むかぎり、そして我が霊魂にインプットされ、ダウンロードされてくる霊界ストーリーを読み解くかぎり、両神の復縁はいまだ未完である。
 おめでたい現代人には初耳だろうが、このへんはおいおい語り部していこう。

 ちなみに近江の多賀大社も淡路の伊弉諾神宮も、共に「多賀」という地名の場所に建っていて、夫婦・陰陽一対の言霊と何か関係ありそうな気がする。私に言わせれば、引き裂かれた陰陽・天地・火水・男女の原理が、再統合を経て、終末世界の逆転再生が成されるという、復活予言の象徴が「多賀」というキーワードなのである。『聖書』的に言うなら、「約束の虹」であり、王仁三郎『霊界物語』的に言うなら、最終の「天の浮橋(あめのうきはし)」によって架け橋された約束の地が「多賀」なのだ。
 伊勢外宮(豊受大神宮)の荒御魂を祭る社が、なぜ「多賀宮」なのか。時代は下るが、東北の奥州藤原氏が栄華を誇った地、陸奥の国府がなぜ「多賀城」だったのか。これらを結びつけて考える人はいないようだが、私は以前からものすごく気になっている。


 では、伊弉諾神宮の写真を列挙していこう。
 正面参道から随神門へ。その向こうに見えるのが拝殿。鳥居は新しめだが、社殿は年期が入っている。     
               神門から拝殿を眺める16007952_2508912831
                                
 参道両脇の狛犬。
狛犬1 狛犬2

 本殿を斜めの角度から眺める。
本殿16007952_232193881

 祝日ではないはずだが、日の丸が高々と掲揚されていた。
                    日の丸のポール16007952_3483136337
               
 三つ並んだ、曰くありげな境内社。左右神社、根神社・竈神社、鹿島神社・住吉神社の三社。
境内社、三社16007952_2912017551
               
 そのうちのひとつ、「左右神社」という名は珍しい。
               左右神社16007952_1773916939

 有名…、らしい夫婦大楠。根元の横の祠は、岩楠神社という。
7-1.jpg 7-2.jpg

 左:馬の像と、右:歌碑。はつらつとしていい歌だが、「民主日本の…」とあるところを見ると、戦後まもなくの歌だろうか。政党とは関係ないとは思うが?
                    歌碑16007952_3439620521

 「淡路祖霊社」とある。
               淡路祖霊社16007952_3076344559

 なにやらカツラの会社のモニュメントと小屋みたいなものがあった。スーツ姿の社員らしき人達が10人くらいで、何かのセレモニーらしきことをやっていた。境内に堂々と、特定の民間企業の建造物があるというのも、珍しくはないか?
 イザナギの父っつぁんは、頭髪にお悩みだったのだろうか?
               モニュメントと小屋16007952_1018102391

 以下、次回へと続く。


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モリ@久留麻
境内社のラインナップですが、全て御子神さま。
左右神社は天照大神(左)と月読尊(右)
根神社は素戔嗚尊。
竈神社は迦具土神。
鹿島神社は経津主神。建御雷神。
住吉神社はマンマ住吉三神。
という事で伊弉諾尊が筑紫の日向の橘の小戸の阿波気原で御禊の砌に化生ませる神々と、
その原因の火の神。迦具土神。
逆上して迦具土神を十握神剣で斬り殺した際に神剣より滴り落ちた血糊から化生した経津主神。建御雷神。

岩楠(磐樟)神社は蛭子大神。

は伊勢皇大神宮遙拝所。もおすすめです。
御玉垣内はマンマ伊勢神宮内宮御垣内の御神気が環流して居ます。


伊弉諾神宮(戦前までは神社)が伊弉諾大神の「幽宮」。所以は御本殿地下に妹背の大御神二柱がお鎮まりの神陵墓だから。
(口伝では御陵を整備して御陵前に有った本殿を御陵の上に建て替えるにさいして恐み恐みも中を拝見した際に確認したと言われます)
御祭神は太古より近代まで公式には伊弉諾大神の一柱でしたが、
内々では密かに伊弉冉尊もお祀りしていたと言われます。
「御神社」・・・古い祝詞集に一宮のラインナップがあり神社名や祭神名では無く御神社との記載は日本でここだけ。

往古、淡路島の伊耶那岐神社は名神大社。勅使奉幣。神階一品の最高ランク。
片や、近江の多賀神社は単に小社に留まる。
ここは大事なポイントかと思います。
それに古代、辺鄙な淡路島に天皇が度々単に狩り(バカンス)にだけにヤマトよりわざわざ山川海をはるばる超えて行幸する筈はないのでは?
天皇(大王)が都を遥に離れると言うのは生半可な事ではアリマセン。

時代の変遷に依り主客逆転。都に近く交通の要衝である近江が隆盛するのも宜なるかなです。

伊弉諾神宮の夏至の日の出の方向。伊勢神宮と気比神宮を結ぶライン(近畿五亡星)上の交点に多賀大社が御鎮座しています。




2010.08.26 03:21

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スタミナ不足で、ながらくこのブログを放置しておりました。ぼちぼち再開しようかと思いますが、操作のしかたがすぐ思い出せず、コメント認証待ちのかたなどおられましたら申しわけありません。


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1955年、東京生まれ。 母方先祖は諏訪大社の大祝だったとか。 ツイッタ-のユーザー名:@G_rhaps

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古典的グノーシスの言うように、この世界が悪の造物主の作品だとは、私は思わない。地球を創造したのは真の神だ。しかし、後から飛来した未熟で歪んだ神が、この地球を乗っ取って、創造主の仮面を被り牛耳っている。最後のドンデン返しの時まで、世の中の9分9厘は、偽せの神や間に合わせの神が支配する、偽せや間に合わせの仕組みなのだと、私は思っている。その騙しと罠の仕組みの中で修行するのが、我々の試練であり、宇宙浄化の雛形としての地球の役割りなのだ。
2008.10.23 『“その後”の黄泉比良坂の歌 ~ 私の「鬼束ちひろ」評 ~ 』http://seirios2772.blog115.fc2.com/blog-entry-13.html より。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ mixiから紀行文の部分を移籍したのが、このブログのスタート。 主に神社仏閣、霊場、スピリチュアル、歴史関係の随筆や論稿を、ここに整理していきます。紀行スタイルが多くなると思います。 執筆は後の時点での回想であり、実際に当地におもむいた日時よりは後になりますが、今後、現地探訪の日付けに統一していく予定です。

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